自身の人間性すらも問われる【Detroit Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)】。
分岐点が尋常じゃないほど存在するが、コンプリートできる気が1ミリもしない。
せっかくさまざまな物語を堪能できるというのに、これは困る。
だって……、魚を殺す…人を殺す…闇に堕ちる…
そんなこと、コナーにさせられるか?
アンドロイド…これは罠。
キャラクターの作り込みが素晴らしすぎる。
モーションキャプチャーで再現されるキャラクターは表情の機微や歩き方、仕草までもが非常にリアル。
人間にしか見えないだろう。
……これは全人類が遊ぶべき傑作なのでは!?
※重大なネタバレなし。
選択によって未来が分岐する自分だけの物語を作り上げていく『オープンシナリオ アドベンチャー』。
まるで映画を作り上げていくような圧倒的な没入感が魅力。
“人間とは・生命とは・自由意志とは”といった深すぎる問いかけを常に投げつけられ、最初から最後まで心に衝撃を与えてくる。
コナーを闇堕ちさせるなんて…できない。
そう、キャラクターこそが最大の魅力であるこの作品。
自らの『意思』を持ち始めたアンドロイドと、人間の深い物語が始まる。
【発売】
2018年5月25日。
【プラットフォーム】
PlayStation4/PlayStation5/PC(Steam)
※2026年現在、Switch、Switch2ではプレイ不可。
緻密な世界観で魅せられる傑作
コナー、カーラ、マーカスという3人のアンドロイドの視点で物語が進行。
単に分岐が多いだけではなく、他キャラクターからの好感度も物語に影響する。
このゲームに『正解』など存在せず、たとえだれかが犠牲になろうと慈悲はない。
どんな状況に陥ろうとも物語は進行し続けるため、選択した道が“取り返しのつかない未来”へ繋がるかもしれない緊張感とも常に隣り合わせだ。
必ず“結果がついてくる”ゲームオーバーがない設計
そう、ゲームオーバーという概念が存在しないため、選択した未来へと突き進むのみ。
元も子もないことを言うと、納得できない分岐をした際にチャプターを最初からやり直したり、チェックポイントからやり直すことも可能。
でも、最初はぜひ『直感』で進めてほしい。
そうすることで“自分だけ”の物語が作り上げられる感覚がひときわ大きく感じられる。と、思う。
そんな意味で選んだんじゃない!“雑すぎる選択肢”と“QTE”
選択肢がざっくりしすぎているため、意図がわかりにくい。
そう、私はハンクからの好感度を上げようとしているのに、コナーが“思ってたんと違う”言動をとることが多々あった。
その結果、ハンクにブチギレられる。
本気でガッカリする。
選択肢入力にはQTE(※制限時間内にボタンを入力)が用いられている。
……QTEが嫌い?
私は大嫌いである。
しかし、難易度を1番簡単な“casual”を選択すれば問題なく進められる。
昨今のゲームに搭載されているQTEよりも求められるボタン種類が少ないし、猶予時間もそれなりにある。
私自身、1周で3~4回はミスったがストーリーに大きな影響はなかった。
しかもポーズボタンで一時停止可能だ。
焦らずゆっくり選ぶことができる。
フローチャートと分岐バリエーション『2%』の結末へ
幾通りもの分岐が用意されているが、どの分岐へ進んでもすべてが自然に繋がるように設計されているため、不自然になることがない。
ゆえに、バリエーション豊富な物語を楽しむことができる。
そしてチャプター終了時、フローチャートで選択結果とその選択をしたプレイヤーの割合が表示される。
少数派の未来へ辿り着くと、なんとも言えない気持ちになる。
もはや笑える。
我が息子は全世界で“2%”の人しか到達していないエンディングに辿り着いている。
そう、序章チャプター『交渉』からカオスは始まっていた。
自らを犠牲にして人質を助けるという思ってもいなかった結果に2人で爆笑。
……とはいえ、息子は納得できずに何度かやり直していた。
が、どう頑張っても体を張る結果にしかならなかった。
あえてではないのに、息子はその後もしんどすぎるシナリオを突き進むこととなる。
“プレイヤーの数だけ物語が存在する”。
デトロイトビカムヒューマンならではの魅力だ。
分岐をコンプリートするには、このフローチャートの活用が必須である。
人間をやめるなら、コンプリート可能だ。
冷たい人間・温かいアンドロイドの対比
“感情”を持っているはずの人間が見せる冷たさ。
“機械”であるはずのアンドロイドが見せる優しさ。
この対比が非常に皮肉。
変異したアンドロイドは人間と相違ない意思・感情を持った生命体であり、機械ではなくなる。
それでも、作中の多くの人間にとってアンドロイドは『便利な機械』なのだ。
当然そこに思いやりなどない。
私であれば、姿かたちが生き物である時点で情が湧くのに。
だれよりも人間性が強い推しコンビ・コナーとハンク
カーラとマーカスは割と早い段階で自身の疑問と向き合うが、コナーは自身で感じている疑問に気付かないフリをする。
任務遂行が最優先であるコナーは、頑なにアンドロイドでいようとするのだ。
しかし、ときに感情を抑えきれなくなることもある。
そんな葛藤をするコナーは、だれよりも人間らしい。
それは、ハンクの影響も大きいだろう。
ハンクは過去の出来事から、アンドロイドを毛嫌いしている。
しかし、根が優しく正義感があるため、相棒が危険に飛び込もうとすれば止める。
コナーよりもコナーを人間として扱うのだ。
2人が自分の気持ちを素直に受け入れたとき、最高のコンビとなる。
私個人の推しが、世間でも人気が高いこのコンビ。
ハンクの愛犬スモウも好きで……結局のところ全員魅力的だが、コナーとハンクは格別である。
操作キャラクターがアンドロイドであること
意思を持ったアンドロイドは“自由”を求め、人間に自分たちの存在を認めてもらうためにさまざまな選択をする。
この『選択』こそが『自由意志』なのではないかと思っている。
だから、もともと意思を持っている人間は自分で“選択”した行動をとる。
しかし、アンドロイドはプレイヤーによって“選択”させられている。
ここに、操作キャラクターが全員アンドロイドだということの意味があると思っている。
物語が始まったときから数々の“選択”を積み重ねていくプレイヤーは、アンドロイドのプログラムに存在するバグなのかもない。
2択ではなく、平均4択くらいで構成されている選択肢が“自由”の幅を広げている。
選択肢自体の意図はわかりづらいが。
彼らのプログラムに介入し、どのような選択をさせるのか、どのような人間性を持たせるのか、すべてがプレイヤー次第。
このゲームを終えたとき、『自分の中の人間性』と向き合うことになるかもしれない。
英語音声も本人!実在の俳優を起用「小ネタ」
デトロイトビカムヒューマンのキャラクターは、実在の俳優をモーションキャプチャーで再現している。
外見や音声がそのままキャラクターに反映されているのだ。
ネットで検索をかけると俳優のインタビュー動画や、ちょっとしたメイキング動画を視聴可能。
作中のキャラクターと同じ顔・ゲームの音声をEnglishにしていれば同じ声なので大興奮間違いなし。
私の推しであるコナーは、ブライアン・デッカート(日本語吹替:花輪英司)が演じている。
ちなみにカーラはヴァレリア・カレラ(日本語吹替:佐古真弓)、マーカスはジェシー・ウィリアムズ(日本語吹替:内田夕夜)。
“重い問い”に向き合える?合う人・合わない人
★こんな人に合うかも!
- 深い問いかけがある物語が好き
- 分岐のある作品が好き
- 感情を揺さぶられる作品が好き
★こんな人には合わないかも…
- 効率よく周回したい
- 爽快アクション重視
- 衝撃的な描写が苦手
『デトロイト ビカム ヒューマン』まとめ
発売されてから年月が経っているが、いま遊んでもまったく古くない。
自分で映画を作り上げていくような体験を味わえる稀有な作品である。
私は現在2周目に突入しているが、「3人の好感度を下げたくない」という感情が、全分岐コンプリートの道を拒んでくる。
困った。
この作品を遊んでからは、家電達をみんなコナーだと思って可愛がることにした。

