…魔王を倒した“その後”を描くという、RPGの後日譚みたいな新しい設定。
そんなの、おもしろいに決まっている。
そう思って読み始めた私は、まんまとフリーレンの世界にハマり込んだ。
真面目とシュールが行き交う素晴らしい世界を退屈だと思う?
確かに戦闘は、魔法を使うというのに派手ではない。
ゆるやかに時間が流れている…。
だが!このゆるさこそが最大の味でもある。
いまこそ、デンケンおじ…【葬送のフリーレン】の魅力を爆発させるとき。
※重大なネタバレなし。
すべてが腑に落ちる丁寧な描写が魅力。
魔法の仕組みや役職の存在意義など、設定のひとつひとつに理由が用意されている。
王道のバトル漫画とは違い、“旅”を経て成長と関わり方の変化を楽しむ作品である。
1000年以上の寿命を持つエルフのフリーレンは人間との時間の感覚が大きく異なるが、ヒンメルとの別れがフリーレンを変える。
2020年、少年サンデーコミックスにて連載開始。
2023年、アニメ第1期配信。2026年には第2期が配信され盛り上がっている。
個性光りすぎるキャラクターと、理由のある世界
ゆったりした時間が流れる感覚で物語が展開される。
敵対する魔族がなぜ討伐対象となるのか、魔法の原理はなんなのか、そんな説明がすべて詰まった作品である。
なぜ、寄り道だらけの旅にこれほどハマるのか?
人を知ることとは、生き様を記憶すること
この作品が描く『記憶』のあり方が秀逸。
フリーレンがオレオールを目指すのは、ヒンメルとの出会いと別れがきっかけになった。
ナルシスト勇者ヒンメルは、各地に自身の銅像を残している。
しかしその裏には、長寿のフリーレンが“将来ひとりぼっちにならないため”という、優しい理由も詰まっている。
自分の『生き様』をだれかの『記憶』に残すこと。
それは、この世界から自分がいなくなっても覚えていてくれるだれかの中で生き続けることに繋がる。
ヒンメルの生きた証となる『生き様』がフリーレンの記憶に刻まれることで、彼の想いはフリーレンと一緒に生き続けるということだ。
この記憶とともに旅をした末に辿り着くオレオールで、フリーレンはどんな話をするのか。
楽しみでしかない。
完成度が高い“クセ強”勇者パーティ
| 名前 | 種族 | 役職 |
|---|---|---|
| フリーレン | エルフ | 魔法使い |
| ヒンメル | 人間 | 勇者 |
| ハイター | 人間 | 僧侶 |
| アイゼン | ドワーフ | 戦士 |
| フェルン | 人間 | 魔法使い |
| シュタルク | 人間 | 戦士 |
勇者一行:フリーレン・ヒンメル・ハイター・アイゼン
1000年以上の寿命があるフリーレンは人間と感覚が違うため、何事もマイペースであり何事も淡泊気味。
だが、ヒンメルを見送ったときに“知ろうとしてこなかったことに後悔”したフリーレンは、それ以降人を知ろうとしている。
物語の進行とともに、徐々に情に厚くなってきている様子が見受けられる。
そう、誕生日を気にしたり、機嫌を伺ったり。
ヒンメルがまた、もう回想でしか登場しないのに言うことすべてが名言で存在感が特大。
しかしヒンメルはただ爽やかなだけではなく、自らをイケメンだと認めていてちゃんとふざけられるという魅力をも持ち合わせている。
年老いたヒンメルはだれよりも縮んでいたが、どのようにしてあんなにも縮んだのかが気になる。
ハイターは縮んでないのに…。
僧侶のくせに酒豪のハイター。
“生臭坊主”と言われながらも、時々口にする真面目なセリフは聖職者ならではである。
やっぱり徳が高いのか?
エルフほど長寿ではないにしても、人間よりも長い寿命を持つ口数の少ない頑丈すぎるドワーフのアイゼン。
彼はズルい。
口数が少ないとともに、表情もあまり変わらない。
そこにとんでも頑丈を見せつけられれば、それだけでシュールが完成してしまう。
ハイターとアイゼンが2人で「キャッキャ」と追いかけっこをしていたシーンがとても好き。
現パーティー:フリーレン・フェルン・シュタルク
現在フリーレンのパーティーにいるフェルンやシュタルクもいいキャラしている。
フェルンはハイターの弟子。
フリーレンのお母さん的ポジションでありながら、シュタルク相手には年相応の女の子。
シュタルクはアイゼンの弟子。
鈍いようで実は空気が読める、できる男子。
みんな大好き、デンケンおじいちゃん
キャラクターを語りだすと終わらなくなってしまう。
……勇者パーティ関連のみにとどめておきたかったが…なんといってもデンケンおじいちゃんである。
デンケンおじいちゃんは勇者パーティ関連ではない。
しかし、どうしても好きだから紹介したい。
彼は一見気難しそうな老人だが、だれよりも愛情深く誠実な最高にかっこいいじいさんだ。
さらには強い魔法使いであり、魔力が切れてもなお原始的な拳に訴えるという根性を持ち合わせている。
人間味あふれる強いおじいちゃんだからこそ、惹かれるのだろう。
しかも、意外な師弟関係も明かされるという隙のなさ。
こんなおじいちゃんが欲しかった。
全員とてもいい味だしている。
魔族と感情と言葉
魔王はとっくに討伐されている。
しかし、地続きの平和と脅威が描かれ、もちろん残党が存在する。
なぜ脅威であり、討伐対象となるのか……それは、“心”が存在しないからだろう。
狡猾さが受け付けられないという人が存在するほどに、彼らは相容れない種族として完璧に描かれている。
だからこそ、敵対するに十分な理由(本能)としても見ることができる。
魔族は感情を“知ってはいる”が、理解ができない。
ゆえに、魔族との会話は無意味である。
人間の情に付け込んだ「オカアサン」には、ものすごく魔族らしさを感じる。
人を欺くための言葉は使えどそこに感情は皆無。
備わっている本能に従っているだけであり、そこには悪意も罪悪感も慈悲もない。
共存など目指したところで無理な脅威であり、勇者が誕生するというわけだな?
ところが、感情を理解して人間と共存したいというマハトのような魔族も存在する。
だけど魔族ゆえに、どのようにしても理解ができない。
そう、わかるために人間と親しくなり、そのあと処分すればいいという思考がもう魔族。
とはいえ、きっとマハトには思うところがあったはず…。
マハト編は終わったが、マハトの話『黄金郷編』はすごく人気である。
欲しすぎる!日常で使える魔法
攻撃や防御、妨害、回復といったおなじみの魔法だけでなく、日常で使える魔法がたくさん存在する。
- カビを消滅させる魔法
- しつこい油汚れを取る魔法
- 服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法
その他もろもろの超便利すぎる魔法。
欲しすぎる。
きっとこの世界には、登場しきらないほどの魔法が存在すると思う。
『最強の魔法使い』なのに万能ではない世界
魔法使い同士であればやりようはあるが、いくら強くても前衛がいないことには喧嘩ができないというリアルさがある。
そのために戦士なども存在する。
確かに…ゲームとかでもタンクや物理アタッカーがいてこその魔法使い。
その上でも、普段のふわっとした雰囲気で忘れそうになるが、フリーレンは強い。
試験で一度、どれだけ強いのかがわかる描写があった。
……それを踏まえると、フェルンはゆくゆくどれだけの魔法使いになるのか!
戦闘シーンから目が離せないアニメ版
シュールに流れゆく漫画の雰囲気はそのまま。
声優もみんな違和感なくマッチしているのではないだろうか。
漫画だと単調に感じられた戦闘シーンも、動きがついたことと魔法に色がついたことで戦闘シーンに派手さが追加された。
作画も神だからかっこいい。
漫画を読んでいて、先の展開を知っていても楽しめる。
ちょっと吹き出しちゃったり泣いちゃったりなんかもできる。
2期まで配信されたが、屈指の人気を誇るマハトの『黄金郷編』までは届かなかった。
3期が待ち遠しい。
ゆるい流れについていける?合う人・合わない人
★こんな人に合うかも!
- きちんと理由がついた作品が好き
- ゆるやかに流れる作風が好き
- 魔法使いが主役の作品が好き
★こんな人には合わないかも…
- 派手なアクションを求めている
- テンポの速いファンタジーを求めている
- 魔法の仕組みなどを理解するのが面倒
『葬送のフリーレン』まとめ
『サンデーうぇぶり』で漫画を追える。
一気読みするとより理解がしやすい…かも?
完結したら、また最初から一気に読みたい作品である。
ぜひ貴方も、デンケンおじいちゃんに沼ってほしい。


