泣かない人なんているのか?【うしおととら】|胸アツの深淵と涙腺への打撃『ネタバレなし・感想』

うしおととら(レビュー)|アイキャッチ画像 漫画・アニメ

その当時…なにを血迷ったのか、私は昔【うしおととら】を全巻+外伝を古本屋に売った。

十数年後、途方もない後悔の末に買い直した実績をもつ。

 

うしおととらは王道的少年漫画だが、それを凌駕するほどの感動が待ち受ける。

…あの最後を泣かずに読める人類がいるのか?

 

なぜこんなにも涙腺を打ちのめす“宝物”を売るなどできたのか。

間違っても売ってはいけない漫画の魅力をいまこそ伝えたい。

 

※重大なネタバレはしません。

バトル×感情ドラマの長編少年漫画、それが【うしおととら】である。

人間と妖怪、本来なら相容れない立場である彼らが絆を深めていく各エピソードは、涙なしに読むことなど不可能。

設定や展開が複雑な漫画が溢れている昨今だが、うしおととらはストレートな感動を味わえる。

“獣の槍”で500年間封印されていた大妖怪“とら”と、槍の伝承者“うしお”が絆を深めていく過程に胸が熱くなること間違いなし。

1990年~、少年サンデーにて連載された全33巻+外伝【うしおととら】。

外伝ではうしおの両親、“紫暮(シグレ)”と「ぢぃぱむ」が可愛い“須磨子(スマコ)”の馴れ初めというご褒美のようなお話を読める。

▶関連記事:藤田和日郎先生の次作、ひとりの男の執着が生み出した混沌…漫画【からくりサーカス】のネタバレなし感想はこちら。

うしおととらは『キャラクターが紡ぐ絆』の物語だ。

旅を通じて出会う、たくさんの人間や妖怪。

本来なら相容れない種族同士が、“信頼と絆”を積み上げていく胸アツたるや。

それはもう化粧がはげ落ちるほどに涙腺へと突き刺さる。

人間と妖怪の“信頼と絆”が物語を作り上げる

うしおが旅の中で出会う、人間や妖怪たち。
そこには、意味のないキャラクターなどひとりも存在しない。

ひとつひとつの出会いとエピソードが丁寧に描かれ、だれもが強い印象を残していく。

そうして積み重ねられた『信頼と絆』こそが、物語に必要な鍵となる。

出会ってそこで終わりではないのだ。

あの時出会った“あの人”や“あの妖怪”が再度集い、ひとつの物語が完成する。

まっすぐすぎて推せる主人公“うしお”

真っすぐで正義感が強く、曲がったことが大嫌い……
そんな主人公らしい主人公が“うしお”である。

運動部に助っ人を頼まれるレベルの運動神経を持ち合わせているが、絵を描くことが大好きなうしおは美術部に所属している。

だが、絵心は1ミリもない。

 

明るくムードメーカーで、だれかのために自分を犠牲にすることもいとわない。

そんなかっこよさも持ち合わせているからか、あらゆる女子から好意を寄せられる天然タラシ。

もはや最初から完成しているが、たくさんの出会いを経て成長していく姿も見どころである。

 

ほかの作品では主人公じゃないキャラクターが推しになりがちな私だが、うしおは例外。
推しである。

うしおは、ほかの主人公にはないなにかをもっている。

凶悪なのに愛おしすぎる相棒“とら”

凶悪な大妖怪と云われていた“とら”は、500年の月日を経て封印から解かれた。

 

…変わり果てた現代に戸惑うばかり。

テレビに喧嘩を売って破壊。
車に喧嘩を売って物損。

その都度うしおに槍でどつきまわされるお茶目さんである。

 

人間を食べるなと言われた代わりに真由子にもらった、とら風に言うと“ハンバッカ(ハンバーガー)”が好物。

真由子はとらのために随所で大量にハンバーガーを買ってくるが、いくらかけてるのか…?

 

うしおを含めたさまざまな人間と関わり、とらは変化していく。

読めば読むほど愛おしい…。

とらは胸と涙腺にズドンとくる名言を放つことが多い。……と、個人的には思う。

普段はぶっきらぼうなのに急に見せる優しさや、相手を思いやる言葉。

そう、ズルい。

もうダム決壊。

 

そもそもだが、とらのデザインが素晴らしい。

かっこよくもあり、可愛くもあるこの絶妙なビジュアルは唯一無二。

何度でも涙腺ダム決壊!丁寧な心理描写

うしおととらは、キャラクターそれぞれの濃いエピソードが描かれる。

キャラクターの表情やセリフなどが丁寧に描かれるため、いい意味で情緒不安定になる。

 

心臓が痛くなるエピソードがたくさん盛り込まれているが、「ここ泣くところ!」というスタンスではない。

読んでいて感情の深いところを抉るような、自然に涙を誘う描き方なのだ。

 

特に印象に残っているのは、サトリの話。

これはヤバい。

うしおが初めて嘘をつく話なのだが、その経緯があまりにも切なすぎて心臓がギュウっとなる。

サトリの行動は、1人の少年を救いたい思いによるもの。
それを理解した上で葛藤するうしお。

うしおは、少年の心を守るための優しい嘘をつく。

うしおの心情がひしひしと伝わってくるため、辛すぎる…。

 

さらに、なんといっても最終章。

反発し合いながらも最高のパートナーである、うしおととら。

そんな2人が交わす言葉に、信頼と絆が溢れている。

そう、最終章はもうまともに読めないくらいに泣いた。
とめどなく涙が出てくるのでセリフを読めない事態に陥った。

ティッシュはもちろん、ハンカチでも足りない。
フェイスタオルくらい用意しておいた方がいいかもしれない。

33巻を畳みきる!圧巻の伏線回収

藤田先生は、広げた風呂敷の畳み方が天才的。

しかも、33巻分の話がありながらも中だるみはほぼなくテンポが良い。
すべてに勢いがあるので、一気に読みたくなる。

もう読み始めたら止まらない。

 

そうして一気に読んだからかもしれないが、「これだれだっけ」ってなるキャラクターがほぼいなかった。

1巻から最終巻まで、無駄な話がひとつもない。
そしてこのすべてが繋がってまとまるんだからすごい。

バトル漫画の枠を超えた感情ドラマ

『信頼と絆』を積み上げ、そして『信念』を貫く強さ。

出会ったときは敵だったキャラクターにも、それぞれの背景がある。
闘いを通じて心を通わせ、信頼と絆を築いていく。

うしおの信念の強さが、彼らの心を動かしていくのだ。

 

こうして積み上げられた“すべて”が終結し、“奇跡”を生む。

うしおととらはバトル漫画でありながら“感情ドラマ”でもある。

★こんな人に合うかも!

  • 王道少年漫画が好き
  • 相容れない種族と絆が深まっていく物語が好き
  • 心に響く感動を味わいたい

★こんな人には合わないかも…

  • 王道な熱い展開が好きじゃない
  • 感情表現が濃い作品は苦手
  • スタイリッシュな絵柄が好み
  • 王道ながらに泣かせるストーリー
  • フェイスタオル必須級
  • バトル漫画を超えた“感情ドラマ”

うしおととらは何度読んでも飽きず、一気に読める永久保存版に違いない漫画。

読むたびに、また読みたくなる中毒性を秘めている。

 

主人公のうしおをはじめ、キャラクター全員が主要級。

だれか1人は推しができるし、感情移入も止まらない。

 

全巻売るという奇行に走ったが、買い直して大正解。
この漫画は、手元に残しておきたい“宝物”だった。

うしおととらは、いま読んでも心に響く少年漫画の傑作だと思っている。


▼深い感情や固い絆が結ばれる、藤田和日郎先生の次作もぜひ。

この記事を書いた人
マツリカ

ゲーム・漫画・アニメなどのエンタメを愛するややヲタク!マツリカです。
  
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