昭和~平成初期にかけて連載された定期的に読みたくなる作品。
アイドルとの恋愛模様も描かれるが、激重たいドラマ性も凝縮されている。
【こどものおもちゃ】並みに衝撃を受けること間違いなし。
物心ついたころ、すでに我が家の本棚にあった母の漫画。
小学高学年に上がったときに初めて読んだ。
当時は深くまで理解していなかったが、随所に挟まれる5つ子のエピソードが好きだった。
私は“ミスター反抗期”こと、たくみくんに一目惚れ。
そして見事に“私が失恋”した思い入れの深い作品である。
世間には、かなり強気であるはじめちゃんを好きになれないとの声もある。
しかし、コンプレックスやネガティブ思考を抱えながらもバイタリティ溢れる立派なお姉ちゃんだ。
ぜひ、はじめちゃんへの負の感情を捨てて読んでみてほしい。
※重大なネタバレなし。
アイドル×家族×恋愛が入り混じる、ヘビー級少女漫画。
“自分を後回しにしてきた”女の子の物語である。
普遍的テーマを扱っている分重さもあるが、適度なコメディも挟まれる。
そのため、疲弊しすぎることなく読み切れるはず。
岡野家の5つ子、はじめちゃんの弟たちがアイドルグループ『A.A.O(エイエイオー)』として芸能界デビューを果たす。
1989年1月号~、別冊少女コミックにて連載。単行本 全15巻/文庫版 全10巻。
芯のあるキャラクターとストーリー
30年以上も前に連載された作品だが、ただ恋愛を描くだけの少女漫画ではない。
大家族の実情や芸能界の裏側など、リアリティ溢れる作品である。
岡野はじめの魅力
岡野家は父母+長女+5つ子の弟たちという大家族。
アイドルデビューを果たす弟たちが輝いてみえてくるが、主人公は”はじめちゃん”。
自身が2歳の時に弟たちが産まれ、多忙な両親に代わって家事や世話に追われる毎日を送ってきた。
ときに愛情を込めた拳を繰り出すこともあるが、弟たちとの絆は強固。
そんなはじめちゃんだから、幸せになってもらいたくなるのだ。
弟たちも姉想いのいい子たちで、あたたかいエピソードが多い。
はじめちゃんのコンプレックス
弟たちは全員アイドルデビューするほどの整った容姿。
はじめちゃんはソバカスと剛毛がコンプレックスという地味目な女の子。
だが、顔は姉なだけあってちゃんと可愛い。
コミックスの表紙のはじめちゃん、すごく可愛い。
作中では”絶妙にダサく見せる”作者さんの表現力に感服する。
3人の重要キャラクター【瑞希・亮・乃亜】
芸能界入りした弟たちの先輩、WE(ウイ)の和田瑞希(ワダ ミズキ)と江藤亮(エトウ アキラ)。
和田 瑞希
巷では人気が高いようだが、個人的には好きになれない。
融通の利かないワガママな俺様成分を含み、ぽっと出の女に惚れた挙句にはじめちゃんを都合よく利用してるようにしか見えない。
しかし、そういうキャラクターがいてこそ物語が動くのも事実。
江藤 亮
最高に最低な登場を果たす。
しかし、物語の進行とともに彼の“複雑な心の内”が見えてくる。
はじめちゃんが一番!で最も重い背景を持つキャラクターである。
あんなにハッキリした物言いをする男が幼い子どものようになってしまう。
そんな彼が救われるまでの過程は読んでいて結構心苦しかった。
最初は最悪、中盤からは不思議キャラクターとなり、後半に進むにつれキャラが激変する重要人物。
なかなか読めない瑞希信者である。
乃亜
はじめちゃんの先輩で、どのキャラクターよりも圧倒的に登場話数が少ない。
にもかかわらず、かなり重要なポジションにいる強烈なキャラクター。
ストーリーの特徴『無償の愛とアイデンティティの確立』
ドタバタコメディに深く重い話など、こどものおもちゃと既視感があるかもしれない。
基本、はじめちゃん視点でストーリーが展開。
はじめちゃんは5つ子たちのため、自分の青春をすべて捧げている。
過酷な環境におかれながらも、『義務』ではなく『愛』をもって弟たちを守ろうとするのだ。
家族のために自分を後回しにする。
そんな『無償の愛』の尊さと危うさが描かれている。
はじめちゃんは恋を通じて“姉”や“マネージャー”としてだけではなく、『岡野はじめ』としてどう生きたいかという問いに直面する。
だれかのためではなく、自分の幸せを願うことの“許可”を出していく過程が見どころでもあるだろう。
5つ子である弟たちや瑞希、亮、乃亜もそれぞれ『個』を認めてほしいという願いが心の奥底にある。
はじめちゃんが一番!は『いかにして自分を確立するのか』という、キャラクターの成長物語でもあるのだ。
ただ、怒涛の猛展開で完結する。
怒涛すぎて、せめてもう1冊分くらいじっくり描いてほしかった感が否めない。
5つ子視点のお話も!
そして随所に5つ子それぞれのストーリーも挟まれる。
結末はご想像にお任せします的な5人の恋愛模様は和みパートだ。
ほか、亮や瑞希、乃亜の話も入る。
番外編で読めるお話
亮と瑞希の出会いや、そのほかいくつかの短編が盛り込まれている“番外編”が発売された。
この番外編では、はじめちゃんが一番!本編の“おまけ的続編”も読むことができるのだ。
「はじめちゃんが一番!」
「合格!」
で、締めくくられた本編。
後日譚にあたる、初デートのお話が掲載されている。
その後も気になっていたため、うれしい限り。
いくつかの短編ももちろん楽しめたが、最後の最後に1番楽しみにしていたデートの話。
…みじけぇ!
岡野家の事情「小ネタ」
岡野家の5つ子ちゃんですが、次男のかずやだけはA型であとはみんなO型。
ちなみに、はじめちゃんはA型。
それぞれ個性があるが、四男たくみと五男なおとは一卵性。
なおとはたくみに、ちょっとした劣等感を抱いている。
こうした関係性も作中でしっかりと描かれるため、細かいところまで堪能してほしい。
重たい話も楽しめる?合う人・合わない人
★こんな人に合うかも!
- リアリティのある漫画が好き
- 大家族の話が好き
- アイドルとの恋愛ものが好き
★こんな人には合わないかも…
- 無理矢理終わらせるような完結は嫌
- 古い描写についていけない
- 強気すぎるヒロインは無理
『はじめちゃんが一番!』まとめ
最終巻だけ詰め詰めなのが残念だが、全体的には大満足。
恋愛要素は王道っぽいような気もするが、アイドルの裏側や重たい話など、思っていたよりもヘビーで読み応えがある。
昭和~平成初期の少女漫画だが、一度読んでみてほしい。
忘れたころにまた読む、そんなループができあがる漫画である。


